今月の伊予採取について
山主様より、「なんぞ柔い物がでよる。」とのことで、大雨でも関係なく20日ころから がんばらせていただきました。
実は連休中も、伊予のお山に行きはしたものの、このときは大敗を喫してしまいました。
このたびの出で、リベ ンジは果たせたと思います。
このたびの切端(キリハ)は、上尾の最北端に位置するところで、いろいろな石の集約地点であるということで、層がもめ にもめてまして、柱状節理もクチャクチャで粘土質の解けた中に石が転んでいるというとてもまれなケースです。

実は白鷹先生は連休中とこのたびと二度もおいでいただき、 いろいろ診ていただきました。
古代建築や道具の復元に人生を賭してきた先生ですので、火成岩系の砥石への思い入れ
には頭が下がります。

先生の後ろに我がテストピースの山。この多くは廃棄となります。
先生にいただく質問で記憶しているのが、どうなったら 砥石として選別するのか?
という問いでしたが、正直なところわからんなのです。
結合度は、ハツリではたいて。
研磨剤結晶の成長度 合いが最も重要でこれの見分けが難点です。
もう一点、粘りも保水性能をはじめ使用感や品位を決定付けるものでこの見分けはなんとも言葉で言いあら わしにくいところです。
おおむねはこの三つの組み合わせで、伊予のかわいらしさが決まってきます。
これは、主様とお話し合いの上、どんな 顔がドコソコにある確率が高いといったような、超適当な方法でしか当たれません。
さらに難儀なことに、熱水鉱床の暴露具合の差が、一肌変わると雲 泥であること多く万歳です。それで同じような石がなかなかまとまりません。
このたびのものは礫と礫の間に貫入した、目的鉱床の端になっており、ご く細く、よくよく煮えたぎって粘土化しているものが多くなったのと考えてます。
連休は大敗!このたびは、量は2Ton切るほどの僅かなも のでしたが、あらゆる種類が出て大勝利を収めたものと信じてます。



目粗で目〆をこすって目起こししたもので手早く傷が退きますし、注水は一度きりで研ぎます。
ただし、後半は刃物の重さだけで研がねばなりません。
大仏様地金は特に軟質で、つめで押すだけで巨大な引け傷を作ることができます、無駄に力が入ると引け傷をバッサリいただくことになります。
ちょろっと、なれというか研ぎ技術が必要ですが、この手早さと京都の粘板岩砥石にもなくて、加えて肌艶の妖艶さは伊予独特ともいえるでしょう。
ホントに、京都の石は当ててません。しかも工程5分ソコソコです。モチロン裏は押しませんので刃先はニョロニョロしてます。
殆どの京都粘板岩砥石もここまでは至れぬと思いますが、力加減のシビアさは伊予のほうがはるかにあるので、ちょっと神経が減ります。
最後の一押しのみ上質な京都粘板岩砥石で上げたほうが無難かもしれません。
腕だめしというか、怖いものお遊び的な感覚で、このテストピースは今月のプレゼントに載せましょう!

一とおりの品種はお渡ししておりますが、伊予の硬いもので仕上げた切り出しにの面白い艶に驚いていただきましたが、
さらに驚きの包丁がありました。




元、柳と出刃!!
こいつはびっくり。柄も朽ちかけたり、手の形に凹んでいたりとすごいです!
本職の方のもので、使用後に研いで磨いていたそうなです。
ここまでお使いいただくと、ものづくり冥利に尽きるというものです。
がんばらねば。。
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