刃付における研磨仕事と、熱処理とのからくり
![ioroi chisels [五百蔵さんの鑿刃付前]](http://farm4.static.flickr.com/3071/2965006281_793abd1e8c_s.jpg)
鍛接・鍛造を終えて、成型、焼き入れも終えた、この一枚の写真は、とても多くの事を物語ります。
この状態から刃をつけると、鋼が硬いのでとても大変です。
かつ、研磨熱で熱処理された鋼が、バカタレにならないように水研磨で下ろさなければなりません。
空研ぎに比べて砥石コストも大幅に変わってきます。
出来上がってしまった製品では、刃付研磨の順番なぞ無関係に見えてしまうのですが、手間と砥石コストはまるで異なってきます。
一方刃をつけてから熱処理すると、鋼はまだ柔らかな状態なので、一瞬で刃が付きます。
しかし、先端だけ鋼が地金から露出して、材積が少なくて焼きが入りすぎて脆くなるので、美しいが良く一分ほどもげる様に欠けるという刃物を多く見ることが出来るのではないかとおもいます。
刃付の研磨手間を、仕上がりの見栄えに直接効いて来る面尻や軸や甲の研磨に回して、製造コストの辻褄を合わせる訳ですが、道具としての力はまるで異なってきます。
道具がほしいのか、美術品がほしいのかで選択肢は変わってくると思いますので、気になる品物に関して、ここは要チェックです。
思いっきりかけてしまう刃物は、「1~2分ほど研ぎ減らすとまともになるよ。」と売り手や作り手は言いますが、あながちうそではないのかもしれません。
道具作りに主観をおいているもので普及価格帯のものは、仕上げ研磨もそれなりであるのは、こういったカラクリ上、仕方のないことで、両方際立つものがほしいという場合は、それなりの対価を要します。
当たり前すぎる話です。
私は、道具を使っていかに手早く仕事をこなすかを考えてきました。
研磨の美しいものを探すのはいろいろ、大欠けさせて懲りましたから苦手です。
「使わんからカケテモイイヨ!」というのなら別です。
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