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2009年05月19日 Category : 鋼材


白鷹先生にお渡しした双頭レールの当時の刻印つきのレールの件などで大変お世話になりました高嶋様がいらっしゃいました。
そのときにいただいた輪切りのもの。
以前先生にいただいたものは、常三郎さんにお渡ししたので、二度目の輪切りゲットです!
ありがとうございます!
今度こそ、わたしの手元に残ってくれそうです。
鉄ちゃん(鉄道マニア)ではありませんが、とても素敵なものであると思います。
左がだるまちゃん形状の双頭レールというもので、1970年代より英国で作られていたもの。
わが国では当時、独自の古代製鉄法しか知られておらず、レール用の鉄をたくさん作るといった技術がなかったわけで、初の鉄道路線である1872年(明治5年)新橋-横浜間のレールや次いで大阪-神戸間のレールがこのレール。
1867年が大政奉還ですから、想いっきり時代劇の世界です。
高嶋様がおっしゃられるには、これはおそらく大阪-神戸間のもので一次大戦中であった大正初期の大阪北区北浜の大阪三越の竣工のためには、この明治初期のレールの廃材を、基礎鉄筋などに転用せざるを得なかったという時代背景があったということです。
しかしこの偶然の出来事の組み合わせは、当時の双頭レールをコンクリートでできたタイムカプセルという興味深い形で平成の世の立替のときまで保管されてきたということになります。
解体する必要のないところも残したまま、工事も進めらたので、また後の世のためのタイムカプセルも温存されているということになります。

右は、私もはじめて見た、東京市電のT型レールと呼ばれるものです。
1910年ころ英国にて製造。面白い溝があります。
だるまちゃんは転んで困るので改良されたTの形になっていったようです。

traditional rail.jpg

高級大工刃物の地金に使われるこれらの鉄は、
  1. 還元剤としてりん・硫黄を多く含む化石鉱物である石炭でなく木炭使用
  2. 錬鉄の「練」がいうところのパドル法製鉄(櫂でかきまわす)
  3. 釜地の「釜」がいうところのボイラーによく適した鉄材
  4. チェーン地の「チェーン」がいうところの錨自体やこれをぶら下げるチェーンとしてよく潮風に耐えた
  5. 橋梁鉄の「橋梁」がいうところの鉄道の鉄橋など大きな構造物に用いられた
といったことで知られ、しかも総て同じ炉で出来上がった鉄。
1番の還元剤が純なカーボンである木炭であるということと、2番の製鉄法でかき混ぜながら、空気を送って不純物をよく燃やせるので更に純度が上がり柔らかさと耐食性が増すが、半溶解状態を経て製品化されるので、画像でも確認できるようにムラムラの模様が出たり空泡ができたりしますがこれが更に砥石あたりを向上させます。
3,4,5番で分かるように量産が効いて熱水、塩害、風雨に永い間晒されても、中から錆びず表面のみ錆びるという、現代高炉製鉄にはなしえない利点があります。
それで、同時のチェーンは命が永く、現在でも少し手に入るようです。
現代製鉄が近代製鉄に至らないと言う点があるというのもおかしな話しで、パドル法に回帰してもコストがかかって現実的ではないのです。
それで、錬鉄が銅と同じ値段で取引されるというのも納得な話です。
ましてや、白鷹先生が鍛冶人生を賭して古代製鉄材による1000年の命を持つ釘をSLMC材を通じて復元させたということは、気の遠くなるような話になるのです。
鉄ほどいろいろな種があり、遠い金属はないのかもしれません。
地金について紹介されている語の意味が少しでもお分かりいただければありがたいです。

併せてこんな記事もある!!

高嶋様ともお話しましたがSLMC切り出しお願いしてあります。
気長におまちください。


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2009年03月25日 Category : 鋼材

ご質問いただいた件に関する回答なり。

というのは、一言で鉄が主成分の炭素をはじめとするものを含む合金
Cr(クロム)がある一定以上の度数あるとさびないステンレスと呼ばれると思います。
純鉄は柔らかで、比較的耐食性があって、なかなかさびが進行しにくいのですが、
C,P,S(炭素、りん、硫黄)といった主に元素周期表左よりの非金属が入ると酸素を呼び、さびやすくなります。
Cは、第一のとしての性能である熱処理による硬さをもたらすことが出来る元素で、不可欠であり、P,Sは脆くするだけで出来るだけ排除したい有害元素としてよく知られます。

の種類が、よくとりだたされ注目されがちですが、熱処理の環境とか、化石燃料はりんと硫黄を多く含みますので、コークス漬けの期間が永いと言った事の方をむしろ思慮することかもしれません。
しかし、これらは目に見ることや、数字であらわす組成表などのように形のあるものではないので、気にも留めないものとしてあつかわれがちです。
どちらも、対等の力関係を持つ知るべき本質である。ということは確かであると思います。

鉄と兄弟の遷移金属元素や特に重たいタングステンなどは、いろいろ恩恵を与えてくれて有用です。
総じた共通点は、錆び難くする力が大なり小なりあって、Cr,W(クロム、タングステン)を含む青紙は、白紙より少しさび方が違うということも注意して扱っているときづくと思います。
合金度が高いハイスなどは、とてもさびにくいと思います。
他、詳しくは常三郎さんのHPのに関するところあけてみてください。

 本題、
鋼に使われる何がしが何混ざってます!といった書き方がありますが・・・
どういうことなんでしょう?
目方の比で言われても、各元素で、ちょっぽりでも重かったり、逆にしこたまでも軽かったりします。
一方、鉄の玉の数と混ざりものの玉の数の比でいわれると、玉入れのような感じで想像しやすいと思います。
単純に、重いものは、ちょっぽり混ざっても重量比が大きく伸びるし、軽い物はしこたま混ざらないと伸びません。
軽いものの代表である炭素にとって、0.1wt動くということはとても大きな違いになって伸びてくるということが、以下のお絵かきで、勘定方法がわかるかもしれません?
あまり、Cの含有量が上がって2wt%こえると確か鋳物と呼ばれるものだとおもいます。
融点が下がって、鋳込みやすく成型しよいので、鉄瓶とかは鋳物であることが多いようです。
鋼としては、硬いのはよろしいですが、粘り(靱性)が失せて脆くなって使えません。
落とすと割れる鉄としても知られます。

向学心が生えてきた場合。
  • NA(アボガドロ数)
  • 原子量
  • オーテスナイト  マルテンサイト
このあたりをWIKIで調べてみてください。
マウスで反転させて見てもWIKI解説でます。

鋼 白紙 炭素鋼 分子量比ひまですることなかったらよんでみてね。

よろしくおねがいします
2008年12月24日 Category : 鋼材

aniversary stamp-2 aniversary stamp-1
郵便局の可愛いお姉さんの顔をたまには見に行くのが日課であり、近代製発明150周年切手があったので衝動買い。
ヨコシマな魂もたまにはよい拾い物をするものです。
私は、マニアでも、切手収集家でもありません。ただのヨコシマと申します。
切手にえがかれるものは高炉
道具でもてはやされている地金のは、初めの量産としての製法でパドル法とか呼ばれるもので生まれたものと思います。
高炉は、コークスだけど、これはまだ木炭を還元剤として使い、熱反射炉のつくる閉鎖的な環境下でパドル(オール、かい)でかき回しつつ空気を送り込みながら、不純物と木炭からの炭素分をも燃やしてしまうというもの 。
燃焼するものが残り少なくなってくると半溶解状態となるので、気泡だらけになってしまうのです。
量産に求められる、剛体として、橋梁等の建設資材として、船舶鋼板として考えるのであれば、発展途上なものであるけれども、日本の道具の地金としてかんがえるならば、気泡が入り混じり結合度の不均一さがかえって、優しい砥石当たりと研ぎやすさを引き出し、この上なく上をもらたらすのです。
当時の製鉄に心燃やした方にとって、この大いなる欠点が、ある場では不可欠なものになろうとは夢にも思わなかったことでしょう。

ただ、この製鉄法は多くの樹木を伐採させ、今のご時勢から見ると森林資源を疲弊させる特にけしからん方法であったもので、次いで化石資源であるコークスと石灰石を混ぜて、字の書き方もそのままである凄く高さのある高炉で一気に高温下で燃焼還元させる製鉄法が今日まで続いております。
熱いままの鉄で一気に圧延までいたるので、質は均質で量産鉄にとっての専らの役割は果たすことが出来ますが、同時に一気に製品にしてしまうという作業方法は幾許かのコークス内のリンや硫黄を孕ませ、中から錆びやすく、新しい間での耐過重性能は格段だけれども、時間軸に対しては特に脆い鉄となってしまうようです。

時代は新しく、便利で住みよい世の中になったけれども人と鉄は悪くなった。

という名言は、聞いたことがるとおもいます。150年の歴史のなかで色々な対価が支払われたのであろうということなのでしょう。

切手に絵がかれたタワーは、近代にさしかかる曙の象徴であり、大量生産と大量消費経済の口火を切るものであったといえるかもしれません。
明治の頃は、わが国にはこの切手の示す製鉄技術はなくて、イギリスからレールやチェーンを輸入する他なかったものでしたが、戦後には転じてわが国の製鉄による輸出が、大きな貿易摩擦を引き起こす程まで成長させた先人の努力というものは生半可なものではなかったと思います。
古代から中世を経て近代までわが国固有の踏鞴は命の長い和釘を生み、刀の時代を支え、文化・芸術としての鉄を大成さました。
現代では戦後、製鉄産業国家としても復興を遂げ、鉄と鋼の民族と世界に称されることとなったのでしょう。

鉄にとって、単に鉄と記されたり、白鷹先生のおっしゃるは金の王たる哉と記されりと幅広い表現方法が生まれた理由として思うことは、この150年で製の方法が変わったことでも頷けるように純度や鍛え方において品位や希少性が大きく変わってくる金属はないかと思います。
貴金属を初めとする非鉄金属一般には、目方当量でおいくらという価値のラベルが貼られる訳ですが、鉄にはも、明治以前における和鉄も、先生の情熱で世に生を受けたSMLC鉄も含まれるのですから、一筋縄には行かないわけです。
法隆寺の釘として1200年間その形をとどめてきたもの、錆び錆で乗ると危ないグレンチングとか車のドア下がボソボソに朽ちてしまっているものを形作るものも、ひとくくりにして鉄と呼びます。だから時としてそれは王と称され、不退転と称され、俗なるものと称され、卑なる金属と称されたりと、色々なのでしょう。

 私たちは鉄鉱石のない、おかしな鉄の島国に住んでいるということはどうやら確かなようで、切手の中の女の子が持っている玉はただ単に今から投げようとするボーリング玉?台砲弾?パチンコ玉?それとも玉違いの王?どう考えるかは皆さんの自由です。




2008年09月02日 Category : 鋼材

今日は、多少さびにくくもしてくれる黒染め液で遊んでみます。
いろいろ試して何種類かあるのですが、本職用の濃い~やつで良く染まると思います。
その代わりドギツイ液なんで、手袋とか眼鏡とか着用よろしくです。
塗る回数とかコメド研ぎ出しと併せて、手加減しますといろいろ好みのお色気が出ると思うので楽しんでみてください。

Black stain-1
黒染め液。700円くらいでどないでしょ?
リクエストお待ち申し上げます。
ハワイアンブルーでとてもおいしそうですが、約PH1.5なんで危険です。
飲むのも飲ませるのもダメ。
味はともかく無臭のようです。
容器込み55gでどうぞ。

Black stain-2
管理と作業性の点から綿棒で塗ります。
原液付けおきが良いとされます。
しかし廃液処理とか困りそうなんで、綿棒でいかがなもんでしょう?
こするとよりよく色変わります。
こするうちに液自体が黒く染める作業に費やされて、薄くなるので少しずつ何度もつけるのがいいかもしれません。
油気は染めむらの原因になるので、きれいに脱脂しなくてはなりません。
伊予のコメドで予め擦っておくと、すごく良く染まります。

Black stain-3一回さっと塗るだけでこんな感じ。

Black stain-4真鍮の場合。一回目。塗り立てほやほや。

Black stain-5一回目で怪しい色合いになりました。

Black stain-6一回目。青みを帯びたというかなんともいえん色です~。しのぎの部分には塗ってません。

Black stain-7水洗後もう一回塗ると、渋くなりました。しのぎの部分にも塗ってみました。

Black stain-8真鍮二回目では、黒光りしてすごくいい色になりました。
写真でうまくお伝えできないのが残念!!! 

<--今度は傷んだ鉋刃でやってみましょ~>

black stain-9さびさび鉋刃

black stain-10伊予のコメドで磨いてさびおとし。
漉き取りの方向にだけ動かすようにすること。
こんな感じのコメドの小さなものももご希望の場合お付けします 。
黒染めさんのよき右腕となると思います。

black stain-11適当に一回目直後

black stain-12二回目

black stain-13水気+伊予のトクソを載せてさらしでみがくと、無駄に黒いところとむらも取れてきます。
自然な感じに近づくといえばいいのでしょうか?

black stain-14黒というよりいぶし仕上げっぽい?
回数を重ねてまっくろにしてもOKですが、個人的好みでこういう感じでいかがなもんでしょう?


             

2008年06月20日 Category : 鋼材

今日は、大阪キタの北浜の駅の真上にある大阪三越跡にこっそりあるかじやさんと行ってきました!
いまはスペシャルなマンションがたっとるではないですか。
なぜ私ナンゾ呼んでいただいたかは謎です・・・
三越の鉄筋の材には、明治の初めの鉄道のレールを転用していれてあったのです。
今回、刃物になることで再々利用になると思います。
双頭だるまちゃんレールというもので、英国アームストロング社??の
反射炉の中で、半溶解鉄を混ぜ混ぜしながら空気を適度に吹き込むと、中の不純物がよく燃え、その燃焼熱を反射還元して反射炉内の熱的平衡を維持すると言うもの。
お邪魔な可燃物がなくなると、炉内の温度が下がって完了!
俗に言うパドル法というやり方みたいです。
半溶解のときに強引に混ぜ混ぜしますので、巣だらけ気泡だらけの鉄になるのです。
当時の製鉄技術者さえ、今日の日本の刃物の最良の地金材の一つになりうるということは知る由もなかったと思います。

 踏鞴の製鉄に比べるとはるかに大量生産ができますが、棒で混ぜ混ぜとか熱反射のために設備を覆わなくてはならず、現代製鉄の高炉に比べれば、生産性と均質性は遥かに劣ります。
生産性は時代が進むにつれて、有利です。
しかし、面白いのは、風説に忍耐し朽ちにくい鉄というのはその逆の順序です。
現代鉄は、高炉という縦に連続した閉鎖的環境下で完全溶解状態となりそのまま燃料兼還元剤であるコークスのリン・硫黄分をたらふく含んだままになってます。
モリブデンをわずか添加して、硫黄分を二硫化モリブデンとして封じますが、これは錆の根の道しるべとして働き、中から朽ちてしまうときいたことがあります。
現代鉄では、再利用の再利用まで永らえるのは、難しいかもしれません。
砥石山の間府の中では、環境がよければ、コカシ(坑木)が50年以上生きているものもあります。
鉄は、15年くらいで跡形もなくなるようです。

 当然ながら現代では、採算性・生産性が大切です。
誰も、往年のパドル法製鉄で地金を練ってやろうとは思わないのです。
採算性・生産性においてダメだということのようです。
今、明日ダメでも、今回のように150年近くしてからとても喜ばれるものも確かにあるのです。
人間の生存可能時間以上のすっぱんで物を考えるということはそれだけ難しいことなのだと思います。

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