今週の仕事で、先日の開発高炭素鋼いぢめ
今週も白砥で暴れたあとに奈良の南方の最果てまで、大工さん頑張りに行かせて頂きました。
長辺尺一ある大斗をこさえます。
斗(masu)は、吉野のひのきの一等材。
節だらけで、強度があり特に吉野のものは、脂身が強くしなやかで粘りのある材です。
これが地松の逆節並みに曲者で、ツマラン刃物ですと一撃のものに砕け散ります。
節は、とっても魂が入っていて、手早く倒すなら大きめな木槌で叩きまわしていじめていかなければなりません。
先日の新しい炭素鋼で作られた鑿の耐衝撃性を実験する絶好の機会です。
結論からいうなれば、突いて良し。強激にも耐えます。


斗が二個つながったもの。鋸目の入れ方は、その工務店や地方で変わってきます。
今回は、面から五分入ったところを抜いて逃げを取るやり方。
新品の一寸中薄鑿。例のごとく、刃先を軽く叩けば、伊予砥コメドのみと常三郎さんの金盤を使い二分で裏だし鏡面仕上げ!金剛砂は絶対不要。キング1000番汁でも十分かと思います。
刃表は、天然砥石で丁寧に研ぎこむと、地金になにやら模様が出ることが多々あります。
地金のことも、秘密とのこと。
中薄は、叩きの丈で作りは中叩きと考えていただければよろしいかと思います。
ですから本来は、フルパワ~ヒット無くして玄翁の大(560g)までで叩くこと。
私のような1.5kクラスのデカイ木槌を使うことは良くない使い方です。
一番上の写真右の、鋸目に段差があったところは、開けるとこうなってます。
順手・逆手に構えて手前・向かい共に叩いて真っ直ぐ取り易く切れ味も絶好調。
全力で節をたくさん叩きまわしても、捲くれはほぼなく、欠けもしません。
敷き面には渡りを付けず、逆にのこして逃げをとるやり方。敷き面の中隙はル~タ~(台改造日立工機M12BA)で取ってますので、機械刃物単価が高く自分の財布が痛むので、特に硬いところは鑿でいじめておくのです。
画像左のように桟を貼っておく意味は少し感がえると意味が分かると思います。
朝お仕事前に、この鑿を下ろして超過酷に叩きましたが、以後一度も研いでませんので、もちろん仕事は捗ります。
一日で、斗繰りの手前まで完了。
斗一個につき、8面つらをたたき仕上げですから、80面仕上げたことになります!!もちろん他に鋸目ではつり飛ばし、節は一個一個のみで抉っていきましたので、如何に驚異的な永切れがお分かりかと思います。
信じがたいですが、一日研がずに使えました・・・
正直な感想は、「なんじゃこりゃ~ぁ」です。
ここまできたら、意図的に刃にダメージを与えた場合どうなるか知りたくなるものです。
思い切り節の中に斜め叩き込みながら、下にこてると鑿は確実に欠けます。
使い込むと少し甘くなるかもしれませんが、だれ無く、飛ぶ種類のようです。
火花試験です。
どの鋼種か?それは職人さんの秘密。
1%以上カーボンとは聞いてあります。
普通の白二以上に枝分かれのする炭素鋼火花があるような???
取り敢えず、価格と種類です。参照ください。


来週は斗繰りガンバリマス