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2007年04月22日 Category :

 鋸の硬度(硬さ)と靭性(粘り)の相反する特性の持たせ方は、大きさと種類によって大きく異なりますが、光川さんの場合 なんと菜種油で焼入れします。


冷却速度は 水焼入れよりずいぶん穏やかですが、歪み取り易さと刃物ほど硬度を上げてしまうと有害であることから、菜種油(サラダ油)が適するとのことです。参考までに水の静止が1とするならば攪拌が3~6で油冷ですと0.6~0.8とききます。
管理が大変な天麩羅につかうそのまんまの油です。一般にはテンパー油という腐らず扱いよい工業用の油があるのですが、菜種油には他の油にはない良い上がりになるとのこと。
これも良いものを確実に作る為のこだわりだと思います。


 焼きなましは、ソルト法という鋸一般の焼き戻し法を使います。
ソルトは日本語で塩です。
亜硝酸ナトリウムという塩ですが、270度近くで溶けて液体になります。
300度を大きく超えだしますと熱分解して、茶色い気体の怖い怖い窒素酸化物と酸化ナトリウムになり、とっても危険です。
溶けたソルトが皮膚に付きますと、火傷はもちろん腐食され、皮膚がえぐれる超危険な代物だそうです。
一般刃物では、テンパー油という化学的に安定した油を160-200 近辺にまで熱し戻しとして使います。
鋸では、靭性を大きく維持しなければなりませんので、ソルトを用いて高温焼きなましを行います。
鋸材の厚みや刃の用途・形状によって非常に多岐にわたり、硬度と靭性のバランスを調整していかなくてはならず、他にはない鋸鍛冶さん独特の妙技となるわけです。
刃の小さい精密な鋸は、硬度を取れますが、穴引きなど大物は刃先に掛かる重負荷でも折れ欠けしない靭性を多めに取らねばなりません。
光川さんは、鋸材炭素鋼と白紙2号を扱い、更に鋸の種類によって熱処理を変えて行きますので、とんでもなく多くの熱処理組み合わせが出来ます。ここにも鋸鍛冶さんが羨望を浴びる理由があるのです。


 焼き戻しは、まとめて所定温度・時間をもって漬け置きが定石ですが。光川さんの場合、300度超えの非常に高めの温度で一枚一枚数秒だけソルト浴させます。
鋸材自体の温度が上り切る前に一気に引き抜き僅かでも時間が狂うとアウトだと言いますが歪みが取りやすく非常にいいものが出来るとのこと。
一枚ずつソルトにすばやく抜き差しするということは、ソルトのしずくを浴びる危険性を非常に多く孕んでいます。
壮絶なる勘と熟練の世界であるということは言うまでもなく、危険と多くのお手間を顧みず良い鋸を作るために、一枚づつのソルト浴にこだわるという決して出来あがった作品からは見ることの出来ない光川さんのこだわりがあるということも是非知っておいてください。



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