錦帯橋国際シンポジウム (白鷹先生のかいおれくぎ)

錦帯橋国際シンポジウムなるものに白鷹先生のお供として、正午に岩国着。
片道360キロ。会場とても大きく、規模の大きさにまたびっくり!
何故かしら、まん前に先生のよこに席が用意してあり、びっくり。
向学のため、賢い方々の思うところを耳にする機会ですので、念のためネクタイ提げて来て
命拾いしました。
それでも尚、私以外頭が光り輝くお年頃の方ばかりで、明らかに浮いてました。
テレビらしきものや新聞記者とお見受けする方が多く見受けられ、余所見やましてや途中で寝入ることなぞ不可能な雰囲気です。
結果的には強制的に、全身全霊を持って聞き入ることができました。2/3の時間は、米国よりアメリカ国務省の方や、世界遺産登録に携わるフランスのICOMOSアドバイザなるとんでもない方々が、Englishでお話しされておりました~。
アメリカの方の英語は早くって解かりにくいですが、母国語がフランス語などの場合は妙に聞きやすく感じます。でも解かるのは半分くらいまでです。修行が足りません。。。
橋脚、チギリで補強。高さも上がってます
1時から6時前までみっちりでした。
世界遺産のたぶん80%くらいは文化遺産だったと思います。
これは、人の紡ぎ出したものを指します。
残りは自然遺産だったと思います。
私の理解したところでは、文化遺産にはその真実性(Authenticity)を問うとありますがこの単語、目にするだけではぱっとしません。
スペインのビスカヤ橋が2006年世界文化遺産登録された経緯を説明され、これを木造で反りだかわづか約5mで橋間芯々約40mをもぶっ飛ばした我が国の錦帯橋に当てはめて考えて見ませうといったことだと思います。
Authenticは真実のとか本物のといった形容詞で、人類の創造的才能だとかある時代の文化圏においてその価値を際立って示すものを挙げていこうとだとおもいます。
ただ真実性自体、色々な文化圏や価値観の方が同じものを見たとしても大きくその解釈は変わるかと思います。そこも大きな問題。
万人を諭すようなAuthenticityでないと世界的な評価は得られないということになります。
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17世紀、江戸の極初期に未だ鉄橋が存在しない時代に40m級スッパンで飛ばしたという事実は、大いに世界木造文化における傑作です。この時代の石の橋でもなしえなかったことです。人類史上唯一無二。
古今東西の社寺建築にもアーチ構造は見ることができません。
岩国に突発的に現れた、非常に稀有な木造文化。
- 主に、ヒノキ、ケヤキ、松の樹種を適材適所の精神の下配置し、風雪に耐え大きな洪水で橋脚が洗屈されるまでに最大273年間不落を誇りました。
反して、解体再構築の際、以前の古材を転用したり、木造橋ゆえの命の短さに、橋梁の材に関して真実性が薄れるのでは?という考えもあります。
平成の架け替えでは、橋脚高さが1m近くあがっています。
これに対しても難色。
なんと、この論を唱えているのは我が国・・・なんでなんでしょう?
材に関しては、部位に関する材主の選定、形状、構造は創建当時のものを遵守。
創建当時の完成度の高さも伺えます。
ただし、17世紀の方々には想定不可能であったであろう、昨今急速に進む温暖化によって、洪水の規模や頻度に対処すべく、橋脚を上げて橋梁高さを稼ぐことは、岩国の大工職人の架橋技術に見ることのできる無形の内なるものの文化を継承し、これを維持するための技術の現れであるといえるのではないでしょうか?これはとても尊いことだと思います。
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近年にみる新しく興りつつある文化圏が、17世紀の創建当初の工匠たちの橋に懸かる材料の循環利用に対する精神を評価しなければならない時代に至ったともいえます。
CO2を吸収し木材資源をなし、それが永続的に循環利用できるという、最近失われつつある我が国の当たり前だった木材文化。これこそ、これからの人類に対して共通の課題である温暖化について考える人々が評価する文化だと思います。
環境負荷へのリスク管理やマネージメントなぞ、当時の工匠たちは考えもしなかったことでしょう。
おもしろいです。
わずか一スッパン7Tonの木材で60トン(1000人分)の荷重にも耐える、脅威の対重量耐荷重を叩き出します。21世紀の世でも木材に勝る軽量でよく忍耐する材を現実的予算で用意することはむづかしいと思います。石や鉄の橋では100倍以上の目方になります。
木材は適材適所で使えばグレート!!偉大です。
腐ったり、焦げたりしますが、有り余る利点を持ちます。それを受け入れ、うまく付き合う知恵と技術を伝えることが木の文化そのもので、ここにAuthenticityが宿っていてもよろしいのではないでしょうか?
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自然の育む材とそれを利用する人々に宿る知恵や技能といったような無形の文化財を両輪のごとく護り、後世に継承し、これに逆境をもたらす時代の不可逆的変化に打ち勝つため、色々な職種の方達が連携して包括的に錦帯橋を取り巻く環境整備がなされているのか?
これも考えさせられるところでもあります。
白鷹先生のように、信念と情熱をもって鉄鋼会社を動かし1000年でも耐える釘の材料を作らせることから先ずはじめられた工匠は、錦帯橋だけに留まらず、日本の文化財に真実性を残し保全していく上では、常に必要であると思います。無論平成の世だけでは意味がありません。続かなければ駄目なのです。
錦帯橋には、おそらく釘15000本 鎹15000本だったと思います。
もっと身近な事では、木材資源は多くの林業に携わる方々の手を必要とします。
実際には、非常に高齢化が進み林野は荒廃してます。食料自給率がどんどん下がっている日本です。
木材自給率もこれに倣います。
私は、丸を製材するところから習いましたので、枝打ちの遅れで大事なところにいきなり大きな節が出てきたりすることがホントよくあります。丸に鋸を一発入れるだけでも、山に入っている人材が不足しているのかな?と考えさせられるものです。これ以上一次産業が廃れてしまうと良くないかもしれません。
記念にかいおれぐぎ頂きました。もちろん例の鉄でできた釘です。
海外の方の熱弁と考えるところのびっくなスケールの大きさには感銘しました!
灯台下暗しというか、あまり思いもしませんでしたが、日本もいい国ですね。
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