山城銘砥 横顔が命 がつ板勘弁

特に本山の仕上げ砥石では横顔が命なのです。
理想は、裏にお肌(皮)(付け)があると、ここから層が平行に積み重なっていったものと確認でき、お肌に対して研ぎ面が平行にあるのかも分かります。
良い砥石はほぼ、このように成ってます。
裁断面を、磨きを掛けたようにしてあるのは、研ぎ面に対して、層のなり方がどうであるものなのか?見ていただくためです。
中山のマルカブランドの良いものでは、裁断面に磨きを掛けているものがあります。
良い値段するわけですので、包み隠さず裁断面も見せて魅せるわけです。
私もコレに習うようがんばります。
砥石は研ぎ面だけ見て判断するものではありません。横顔が命です。
横顔で、育ちと品性を拝見できると思います。
もちろん、山城國梅ヶ畑東端ベルト地帯の本山の石ほどに、横顔の層のなり方は、たとえ巣板以外のあわせ砥であれ明瞭で、帳面の横面のような見え方をします。
それで、帳面成りと呼び、良い砥石はおおむねこれをもっていることが条件です。反対語はよろい。
帳面なりの、一番の恩恵は、研ぎ面が水をのまないことに限ります。刃が無駄に張り付いて研ぎにくいこともなく、よろしいです。
無論、質の均一性も明らか。
鍛えの段階で、へき開性に富み、鏨(たがね)を側面から掛けてスッキリ平面に開くことが出来ます。

しかしながら、本山の石ほど厚さの向きで割れやすいというのが、この帳面なりの仕業であり、研ぎ面と直交する裁断面からは特に水を飲むのです。
乾湿の繰り返しはあまり芳しくなく、そこに凍てが入ると一発で二枚に上がってしまいます。
それで、なるべく側面は石ちゃんで養生するようにしてあります。
これは、石ちゃんを2-4倍くらいに薄めて塗布してます。
一見、分からないと思いますが、汚れたときにすぐにトクソが流れるのでお手入れ楽です。
本山のもので厚さまで五方挽き上げているものとか、側面に色をつけたりしているものは、要注意です。
厚さを引き上げるくらいなら、鏨を掛けて新たにお肌を露出させ、お色気UP&整然たる成形が出来るからです。
ということは、鏨が使えない程度のものであるということが明らかです。

八枚等がつい板では、付けの近辺以外は、層が木目状に渦巻いており厚さがあって硬いだけで、力は乏しいものです。
どこで研いで見ても柾目(裁断面)に刃を当てているようなもので、硬くておりが鈍いので一見硬くて細かい石と見えるときもあるかもしれません。
がつくて無傷で大判をこさえよといわれれば、作ることは可能です。挽き上げれば良いのですから。
冴えた抜群の水浅黄でもあることはあります。
しかし、砥石としては?です。
がついものほど、帳面なりが崩れている傾向はあるので、よ~く観察ください。
値は張る、使えんでは惨いお話です。
帳面なりが明瞭になると、どうしても一寸ソコソコで次の肌が入っており、そこを鏨で開ける必要性が出てきます。それで、がつい板が少ないのです。
本山のものでよいものを手早く探すのであれば、巨乳は避けて微乳な美乳が手堅いのです。
よくよくがつ板のリクエストお聞きしますが、私には巨のダレ乳と聞こえてなりません。
巨の美は滅多にありませんので値は法外になると思います。
スケベ心は捨て、横顔から本質を見抜くようがんばってみてください。
どうしても巨にこだわりがある場合、東でも木津山~長四郎・高山系鉱床と愛宕以西にはがついものが出ます。
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コメント
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Posted by - at 2015.12.16 17:00 | edit
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Posted by - at 2015.12.17 20:51 | edit