常三郎X五百蔵コラボレーション綿帽子三枚裏鉋
これ、五百蔵さんのところで、三枚にすいていただいたもので刃付け前状態。
なんじゃ?これ?といった鉋ですが、寸八の燕鋼と青1B仕様の綿帽子三つ裏明治のチェン地木目仕上げの鉋刃。今年の初めにこっそり誂えていただき、南半球や、オーロラの出るところなどに渡りもう残り二枚になってしまいました・・
意味があるのか?といわれますと新しい間はございません。遊び心です。
ただし、持ち合わせの少ない職人さんには大いに意味があるかもしれません。
ちびた時に、真価を発揮します!
脚がちびてきた短い刃の鉋は、縦に割ってよく小鉋とか際鉋に作り変えます。
水盤に刃を浸しておいてサンダ-でばっさりという原始的な方法です。
その場合、三つ裏でついた脚のところが切り取り線になったら良かろうと思い無理悶着をおふたりにおねがいしました。
実際私が割る場合も、豆鉋と小鉋といった感じで1:3でばっさりしますので、三枚裏が万歳ではなかろうかと思いました。
ちびた鉋刃をばっさりしますと、裏がハチャメチャになります。それで3枚にしておくと、割った後も美しくいくのではないでしょうか?
二枚刃ですと隠れますので研ぎのときしか裏が見えなくて楽しめませんが、一枚で植えますと、お色気と遊び心十分味わえます。
綿帽子頭は、最近得に流行で お受けする別誂え一点ものの多くは綿帽子さんです。
私もはじめは妙に長くてへんちくりんな形じゃぁ?と思っていたのですが、常三郎さんのおっしゃるとおり利点は大いにあります。
- 頭が握りやすい!
お手手の握り手の形にぴったりフィットです。握る手の形そのものが綿帽子ではないですか! - 頭が長いので、ちびた時に台に埋没しにくい。
よく、台頭側の厚さを割って、叩き易くしていますが、その必要がなくなります。
これは大きな利点です。
台頭の厚さ=鉋刃固定力に直結しますので、得に硬い木を削る場合は、仕込みの硬い台を要し、台頭を割ることはご法度となります。厚い台・硬い仕込み・硬木と戦う これ等の何れかを望む方には、とっても合理的かつ美しい意匠の刃となるわけです。
機能性、意匠、遊び心をこれ等のような想いをもって、常三郎さんにお願いしたわけですが、初めは無理っぽいといわれちゃいました。
「あんたのばやい、鋼薄くつけろいうさかい、三枚にするとどうしてもスキが深くなって鋼切ってしまうかもしれん。」とのこと・・・
手狭な刃の裏隙は、R径の小さい物でやりますので、深いスキになって危険だということです。
そこで、もとより薄めの鋼を扱い、剃刀でもなんですいてしまう五百蔵さんにお願いしたわけです。
快く引き受けてくれました、五百蔵さんには感謝でいっぱいです。
青紙一号B(青2より一段階カーボン多い)は普通にすけたようですが、燕鋼は、ネバネバで研磨の目がつまり気味になるし、下りなくて大変だったとのことです。
燕鋼恐るべし。
お二方に頑張っていただいた分、少々割高になってしまいましたが、遊び心の誘惑によって押し通させていただきました。
職人さんが協力し合いますと、今まで無理だろうなと思われていたことも実現できたりします。
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