鑿作成に掛かる手間の本質はどこ?
鑿の価格について開きがあるとよく聞かれますので、お答えします。
鋼付きで、安価な物は、鋼と軟鉄を赤めて重ねてでっかいプレスで一撃必殺の下で型抜きしてしまいます。
地金と鋼の境界線である鍛接線は、一様でまっすぐで美しいです。
美しい丸鑿などこの作成法が多いようです。 最近の大工さんは、裏をモリモリ押して刃を付ける傾向がありますので、鋼が切れて理不尽なクレームとならないように、少し厚めになっていることが良くあります。
鋼を少し大きくすることで、カスガイ型に巻き込むことも出来ますので、抜群の見栄えになります。
出来上がりは、カタヌキ品が見栄えして安価なので、良く売れます。
それに比べ手鍛造の場合は、注文主に合わせた鋼の厚さなどなど融通効きます。
赤めて短い時間内に何度も打撃するということが強い鋼になると聞きます。
暑いのを辛抱して下の動画のようなことを、昔ながらの手鍛造の方法をとる鍛冶屋さんは、こなしていらっしゃいます。
これに加え、これ等の動画の真ん中に鍛接の工程も加わりますので、比べますと随分と手間が掛かります。
鍛接線に揺らぎが出ることがよくありますが、返して言うなら手鍛造の証でもあります。
手間が掛かり、見栄えしないことがあるので、高かろう悪かろうに思われがちですが、堅牢で切れ味冴える道具としての価値はどちらにあるものなのか?というところは、使ってみると分かります。
道具は、使うものですので、結果がその場で出ます。
今流行のミンチお肉の偽装のように誤魔化しが効かないのです。
ただ、見た目では分かりにくいということは、どちらも共通しております。
↑鋼を炉で赤めて、一枚一枚鋼を叩いて薄くしていただいております。
裏隙は、肩のほうが当然深くなりますので、若干バチ型の斜め断面で鍛えます。
注文主によって鋼の厚さを変えたりしていただけます。
↑地金と鋼がひっついた状態で、軸と中子を打ちます。穂を火箸で挟んでくるくる回しながら叩いています。
中子は柄の中に刺さる所で四角い断面です。これもこの段階で決めてしまいます。
鑿鍛冶の腕の見せ所です。
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