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2010年06月15日 Category : 砥石

YouTubeよりお遊び動画一本です。

リストカット一応QRコード
編集なしで一枚撮りで、ちゃんとホントの動画です。
段ボール:二層貼り合わせ式のみかん用ゴツゴツ厚手のもの
新聞:朝刊40面五回折
伊豫砥:木目だけど硬質目〆、軟質こめどちゃん貼り、研ぎ水なし
カッターナイフ:再研磨20回以上、もうヘロヘロ。刃先二段折り飛ばし済み
Iyo 伊豫とカッターナイフ よく使う刃元がこんなに減ってるのでした!
Iyo 伊豫とカッターナイフ 参考的な小刃の角度はこんな感じかと思う。

皆様にお引き立ていただきまして、毎日梱包大会をさせていただいておりまして、カッターナイフの疲弊度が半端ではありません。まことにありがとうございます。
それで、腐っても砥石屋なので研ぎながら大切に使います。
カッターナイフはガラスに傷がつかない程度で、折ることができる硬さを持つ鋼なので、簡単に研ぐことができます。

けれども、パリパリの天然仕上砥石で上げてしまうと、初めはよく切れますが切れ味の落ちもちょっと早く感じます。
ウエッジ全体が、摩耗するので、鋭利なものをつけてもどこかに退いててしまうのでした。
木工刃物をはじめとするウエッジ依存の切れ味の場合、鋼の硬さと粘りがないとウエッジが退いてしまうので、ほかの仕上げ方を考えねばなりません。

決定事項は、ウエッジがすぐ退くということです。
切るものは繊維質。木とか紙などを考えます。
イメージは、パン切りナイフ。
連続する弧を描く刃先の形状で揃えてみようということです。



これこれ!
同じ考え方は、畳包丁とかやり鉋とかにも。
中砥仕上げっぱなしというものです。
円弧が磨滅でなくなってしまうまで、被切削材の繊維をガッツリとらえちぎっていく。
鋸みたいな感じです。
これだと円弧の高さが磨滅するまでは繊維を捕まえることができて、引きの一手で切れるということです。

ここで、ダイヤモンド砥石でやると恐ろしいほど永切れしません。
条痕の断面形状が V だからです。狭くて鋭角の深い傷は、ガラスカッターの傷と同じものですから、ここに応力がたまって破断します。直にネズミのボロボロ刃を確認できると思います。
ここで、伊豫砥をはじめとする天然中砥石で U の字形状の浅いけど幅広で円弧を描く条痕を作ります。
丸のこの刃のスリットの終点を丸で抜くのとかユンボのバケツに丸で抜くところがあると思いますが、これは丸のところで応力分散させて破断させにくいようにわざわざ丸で抜くわけです。
これをもうちょっとだけ小さい世界で実現させてしまうわけです。



天然砥石のアドバンテージなんぞこれに尽きるといっても過言ではなかろうと思います。
Uの条痕の連続体で、パン切りナイフ様の刃先を持たせ、繊維をとらえつつ、折れ欠けしにくい条痕形状。
硬さも木工刃物ほど本格的なものでなく、磨滅が早いのでウエッジ形状に小刃(二段の角度を持つ刃)を持たせ、多少の切れの軽さと引き換えに磨滅に抗う力を持たせる。

ところで、カッターも木工刃物クラスの硬さを持たせるといいじゃぁないか?と思ってしまいますが、そうもいきません。
全鋼で薄いからです。それで簡単に砕け散ってしまう脆さも孕んでしまうということになりますから、いまのようなバランス型の感じじゃないといかんということなのでしょう。
ただ、替刃のこぎり衝撃焼き入れものは、刃先だけ木工刃物以上の硬さを持ちます。後の部分はなまくらで折ることもできなくて、ふんにゃりとまがってしまいますね!?

偶然といいますか、カッターナイフの刃の鋼と伊豫砥仕上げっぱなし刃先と適正なウエッジの角度があると、実によく切れます。
そして、永切れしてくれます。
いったん切れなくなると、急激に切れ止みます。
これが竹を割った性格というか、面白いほどにはっきりしてます。
おそらくは円弧の底まで磨滅が至ったんでしょうね。
そういうわけで、そこに至った時には、ウエッジは実に良く潰れ切ってますので、動画のようなことをしても何ともありません。
しかしながら、角度と刃に対する条痕の走る方向(石に対して直角にがんばること)さえ気を付けて、あんなに手短に伊豫でウエッジ再生しますと、二層式のみかん用ゴツゴツ段ボールがこんなに爽快に刻むことができてしまします。
ちゃんと水打ちしてまじめにやると、もっともっとおいしい切れ味になります。

木工刃物しか研いだことのない私にとって、こういった鋼の質がいろいろあるような、たとえば包丁の研ぎ方というのは、脅威的に難しいと感じます。
カッターもこの類です。
初めはわからないもんですから、一生懸命大工的な感覚で研ぎはしましたが、徒労に終わったものです。
カッターでは、実用にとても満足のいく研ぎができたと思います。このときの「ヤッタゼ!!」感はいくつになっても楽しいものです。
さいきんまで、片刃の木工刃物を、ピリピリに神経をとがらせて研ぐというのが、研ぎの世界だ!と思ってましたが、そうでもなさそうです。
10円もしないカッターでも、うまく研げて性能が復活した時の感情というのは、 稚拙だとか高尚だとか区別することなく、同様のおもしろさがそこにはあると思います。

いずれにせよ、1枚が10円もしないカッターの刃を研ぐことでもそれは立派な研ぎものであると思いますし、現在の使い捨ての考え方に傾倒してしまった世から、リサイクルだとか繕いの精神がようやく価値あるものとして再び地位を取り戻さんとする今日においては、もっとも流行の最先端に載ってやったゼ!!というある種の誇らしい感情を抱きながら研ぎを楽しめると思います。
伊豫砥とカッターナイフの刃研ぎの相性。。。揶揄するなら古代道具と現代道具の相性について考えてみる滑稽で非常に顕著な事例であるとも思います。
30億キロ離れた星の砂を持って帰れたかもしれぬ!という時代でもなお、古代の我々の祖先が地産地消で集め始めた石ころころで、今風の豊富にある刃物でお手軽で実用的な研ぎものに挑戦できるということです。
ここはひとつ、古代道具を操って現代道具のお役にたてるという証明を是非皆様方にもお試しいただきたい!
現代量産刃物から工匠具まで幅広い門戸を持つ、古代の砥石というのが伊豫砥の一番のうりです。
敷居の高さなんてあったもんじゃありません。へこんでるようなものです。




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