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2007年08月02日 Category : 鋼材


はい、先生いつもお世話になります。
五百蔵さんのところには色々なものが集まります。
これでよろしいでしょうか?
御確認ください。


これは、京都の古いお寺の修理の際に出てきた現代で言う片引きボルト。
大きな木造建築物の軒先の垂木の下端に、乳みたいな黒い丸っこい金具が付いているのが確認できると思います。

垂木の長さは、本来地垂木がヒエンの裏の弱くらい長いと思いますが、だいたい軒先はこんな感じです。
予算や時代背景でこの吊金物はないときもありますが、なくても茅負に梃子かけますので、ナイスな軒のラインを維持できるということになります。
当時は鉄はたたらで、あちこちで少量生産にてまかなわれ、大鍛冶が頑張って纏めて大きな金具など作ったいたようです。
地金としては、最高な時もありますが、ズクなど固まってはいっていたりしたときはカチカチなようです。

古いにぽ~んが好きな方にはタマラン品だと思うのですが、江戸中・後期のものは之を多用し、茅負にまともにしゃくれたほぞを差していない物が多く、大工さん的に見れば、大工共を堕落させた発明なのかな?と思ったりもします。ホゾなしも結構見ました!
茅負は勾配なりに座っていますので、軒の外側に飛び出したい気持ちでいっぱいなのです。
お絵かきにある何気ない茅負に刺さるしゃくれホゾは生命線であり、シャクレタほぞと重力の力もって、茅負自身に建物の内側への求心力を持たせる、昔の人の賢い知恵です。
お乳の吊金物が多く現れたことによって、ほぞなしで、和釘のみで茅負と垂木などを連結させておおちゃくしてしまったのかなと思います。当時の文明の利器の弊害?
勿論月日を経た建物は、軒先ふにゃふにゃラインとなります。
自重をもって茅負の飛び出したい気持ちをバランスさせるのと、金物の力のみでバランスさせるのとでは大きな違いがあるということを、積年の風雪が証明してくれます。


奈良で元気にしている大工の親方様は、造作の時は飲んだクレタ日々でしたが、ハネギをいれるときだけは一番殺気ムンムンだったのが不思議でなりませんでしたが、最近たぶんその理由を理解したような気がします。
出来てしまえば、ただの皮むき丸太であるハネギなんぞ見ることも出来ませんが軒先の美しさを支えている物はこれ一本に他ならないといっても過言ではなかろうかと思います。


軒先のクソ重たい鬼瓦さん等の荷重を一身に受け、土居ゲタを介し化粧桁・柱へ逃がしているハネギは偉いです。
ちゃんとした建物は、びっくりするくらい軒先に丸太が転がってます。
軒先の美しさに注目しがちですが、軒の内側でどのように重力が処理されているのか考えてみるのも面白いかもしれません。

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