金物マガジンVol4 鋸の命を永らう目立て職人 のぼり刃物店主 林さん
金物マガジンVol.4でました。
本誌で登場の目立て職人 林 隆彦さんは、のぼり刃物の主様で、自ら鋸のめたてをされております。この御時勢の絶滅危惧職人です。
大工さんの工程は、"切る"が断然多いのですが、最近丸のことか衝撃焼入れ替刃鋸だ出てきて手鋸を扱う大工さんがとても少なくなって、目立て屋さんも減ってしまいました。
しかしここで言って置きたいのです。手鋸は、しばらく修練が必要かと思いますが、使えれば、留めとかドウツキ、メチきり、ホゾ取りを、墨線さえつけてしまえば最も短い工程と、身のこなし方でかたずけてしまう事ができます。
これは、とても仕事が捗って儲けさせていただく事のできる道具であるという事に直結します。
たとえば、広くない部屋の中で長尺の廻りブチ相手にツバクロ留め仕事に、クソ重たい押し切り持って回って台こさえて、ローラとか馬を調整してチョイ切り機能やらを使って切っている間に、手で挽けばもう終わってます。
材料をぷんぷん振り回したりする事も必要ありません。
何を挽くにせよ、丸のこに頼りすぎな傾向があるのではないでしょうか?
「適材適所」これは材だけではなく道具でも言えると思います。
因みに私は手で持つマルノコ大好きで、好きな道具ナンバーワンです。大断面をまとめた数とかまとまった形状で切りたい時など、できるだけこの状況に持っていけるよう考えます。
心はいつも「まるのこ使いたい」とおもってます。
長尺や重量物のうるさい切断には結局しんどいので使う気にはなれません。
大工はビスをもむの次に一番切る仕事が多く、これを思うところに挽く事ができれば、今後触らなければならないことがなくなるわけですから、捗ります。鑿・鉋の出番がぐっと減ります。
そういったことで鉋や鑿より、鋸が一番気になる道具で、これほど使いがいのある道具はないかと思います。
正直に申しますと・・・鉋の鋼がどうじゃとか薄く削れたとか、鑿は誰が作ってあるので美しいとか、こんなことが仕事の出来高にあまり繋がる訳ありませんからまるで興味ありません。
手の延長と考えることができるような鋸は使われ続け、良い目立て職人さんによってその命を永らえるという関係は不可避であるといえます。良い鋸を持つという事は、良い目立て職人さんとご縁がなければ現実的ではないということだとおもいます。
私は、奈良で習ったので、地方や京都に出たりしたときには目立てで困ってしまいました。
実際、良く「目立て屋さん紹介してと」お問い合わせあります。そのくらい目立ての入用な鋸は使われなくなったということで、日本の大工さんも黄昏じゃないかと思います。
良い鋸欲しいけど目立て職人さんがいないということで替刃を選ぶようになり、これもまた寂しい事です。
もう昨日になるのですが、のぼりさんのことろで看板用に展示させて頂いた砥石を交換させていただくときに、とんでもない鋸を目撃してしまいました!!!
実は、私の住む大阪豊中市内の目立て屋さんの鉄を挽く鋸にヒントを得て、そこに知恵を注ぎ込み今の目になったと聞きました。
木ごと釘まで挽けちゃいます!
今日はここまでですが、明日はわたしの無茶なチャレンジ精神でバカな挽き方を御紹介します。
これもまためん玉飛び出る驚きと感動です!
見てしまえば、現場戦士の方でしたら是非のぼりさんに誂えていただこうという想いになるはずです。
使わないような目の飛んだ、九寸を片手に御期待下さい。
よろしくお願いします。
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