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2007年04月08日 Category :





お化け高丑突き叩き兼用50+年物アッサブ鋼鑿開発テスト記録


半世紀以上前、東京鍛冶の大御所と同じ時代に同じアッサブ鋼を仕入れた本土以外の鍛冶屋さんがいらっしゃいましたが、その鋼で柴野さんに鑿を作っていただきました。柴野さんの尽力あってこそ実現したわくわくの企画開発です。


表。本丈6寸穂丈2寸総丈5寸
裏。黒裏 合わせ仕込み
裏を平面に置きますと、口金・柄・下がり輪どこも当たらず、かつかつかつのところに持っていってもらいました。
柄をできるだけ裏の成す線上と柄の芯が平行かつ、一直線上に近くなるようにという鑿の柄の大原則からは大きく外れないようにしなくてはなりません。
これをできるだけ守れば、強靭で力が良く刃先に伝わる柄となります。
裏で切り込み面の定規とするわけですが、口金が材との間に成す僅かなる隙間を記憶しておけば、ここまで材が来たときに刃先・裏・軸・待ち・口金に至るまで全て同一平面上に突けたと言うことを示します。
カンナ台を二点や三点接地で使うことと似ています。
短時間で叩いて切り込み最後にほぼ一突きで、真っ直ぐ上げるためには技量や勘も大いに必要ですが、道具に懸ける知恵一つで十分助けとなりより早く確実な仕事ができるはずです。
私が思う良い道具というのは、誰が扱っても 手になじみ、使う側の技量と勘をより容易く確実に伸ばしてくれる物であると切に思います。
私が思うところの良い道具は必ずしも値段には反映されていませんので、値段や希少価値に対し、私は全く興味がないのです。


お化け高丑刻印
謎の面白い刻印です。柴野さんに選んでいただきました。お茶目な方です。

50年超えスゥェーデンアッサブ鋼の火花試験。
明らかに白二 1%ソコソコに比べ細かく枝分かれした火が出ます。
曰く、1.2%くらいとのこと。

大昔の松の節を強撃しますと、欠けタイプか捲くれタイプかわかります。穂を5厘ほど使い込んだ試作という意味合いの零号熱処理仕様では、小さく欠けました。
鑿の殆どが大きめに欠ける恐怖の材に対し、まぁまぁ健闘です。
しかし、職人さんの求めるのみは 「欠ける位なら捲くれてくれ!」ですので、
戻しを再検討していただくよう柴野さんにお伝えしました。まだまだ世に出せません。
四月第一週には、いろいろなお方よりこの鋼についての情報を集めて、何やらとても良い技法を得て来られたようですので、次回試験モデル一号熱処理が楽しみです。

450年熟成節に負けたときの裏。
刃先が非妙に捲くれて写りこむ景色が僅かに歪みますが、零号熱処理ではそれがほぼ見られません。まだまだ靭性(ねばり)を伸ばせる余地がありそうですね。ここもお伝えしました。


こいつをしばいたときにヤラレマシタ。
戦いを挑んだ相手です。

鎬角度変更中
何回も挑んで敗北して、刃付けのたびに少しずつ鎬(刃先角)を立てていっています。
甲側は、新品のままです。

裏だしまでしてしまった。
使い倒しましたので、裏切れました。それで、裏出しの際の槌目残ってます。それでも甲側は新品のままです。
鎬もずいぶん起きて来ました。
刃付けは、神前戸前。無茶苦茶地が梨地に曇りますが、生地細やかで鋼はかなり光ってきます。


嘘でしょ?この切れ味???
イヤ、ホントです。人口乾燥機かけられたパスパスの杉白太をつるつる木口に上げてしまいます。上の撮影の後ですからおもいきり鎬が起きていて切れ味は見込めないのにも関わらず、この切れ味です。
神前戸前で上げた後に、切りましたので深層高島や東物の良い口で上げるとどうなることやら末恐ろしげです。
しかし、神前戸前は下ろしまくり・ブヨブヨ厚い砥膜で刃当たり最強・生地均一!!!ときておりますので、この石でもかな~り切れ味は引き出せるものと感じます。


ケヤキは楽勝
杉の次はケヤキを1時間くらい刻んでいただきました。450年ものです。


そのときの裏
ケヤキは茶色いものが付いて嫌ですね・・・
捲くれも皆無

 次回誂ていただく作品には、また異なった熱処理をしていただきます。
また私が過酷な使い方をして忍耐できれば、良い道具として世に紹介して使っていただきたいと思います。


よろしくおねがいします。

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