和釘を纏めて鍛え上げた池内さんの伝統工芸品小刀。
昨日は、石の納品や、御遣い諸々で三木に行っておりました。
少し前に、おおきなカスガイとか、お寺の屋根換えのときに出てきたものの和鉄を、若き職人集団三木刃物クラブの小刀鍛冶である池内さんに「好きにして」とお渡しして、見事に誂えてくれました。
お疲れ様でした。
江戸初期から中期の建物から出たもので、踏鞴製鉄で取れた物で、カーボンが低く大鍛冶が纏めて鍛えた物をこれらのような釘や、チョウバン等へと一つ一つ鍛えて作っていたそうです。
玉鋼とは、還元、冶金法等は同じ物を使い同じところから出ますが、ハイカーボンで質のいいものが、鋼として何度も鍛えられていたようです。
釘になるような鉄は、鋼まで質が及ばなかったものを集めて固めてカス抜きをそこそこ行った物と考えてます。
例えば、ガソリンとか航空燃料が玉鋼で、重油とかコールタールが釘になるような和鉄のようなもので、原油が踏鞴から取れる穴あき隕石のようなケラになると思います。
原油からは航空燃料からコールタールまで取れますが、歩留まりとか製品価値に大きく差が出ます。
ですから、江戸の世の踏鞴で製鉄した物を地金としていますといえば問題ありませんが、玉鋼からできた・・・といえば、語弊があるのではなかろうかと思います。
何れにせよ、いかなる鉄でも大昔はとても貴重で、火事場のあとには金属をくまなく探したと聞きます。
現代の、多くの鍛冶屋さんは、4寸以下の釘などはとても嫌がります。
大鍛冶仕事としての小さな破片を纏める手間も嫌なのです。
真ん中のような、殆どが錆でできているようなものは、纏めると思いの他小さくなりますし、カス抜きも大変で嫌われます。
今の世の鍛冶仕事では、現実的な仕事ではないという事で、これは仕方のないことです。
しかし、池内さんには頑張っていただきましたよ!!
何本も纏めていくと右上のようになり、これを目的の形まで伸ばして行きます。
ばらばらの釘を纏める必殺技術と手間を要しますが、今まで諦められていた、小さな錆釘も小刀地金として生まれ変わる事ができるという事です。これは素晴らしい事です。
纏めて引っ付けてきたえるので、この努力のあとが良く面白い模様が研ぎ面に出てきます。
刃物や鉄が好きな方にはたまりゃんものかと思います。
左は、向拝に掛かるOO山とかいった看板を支えておく為の物。デカイです。
ナント、一本は何気に通商産業省指定伝統工芸品の試験に通した物があります。
日の丸シールつきの小刀になります。
仕上げもいろいろで、打ちっぱなしや、釘先に溜まったカーボンが成す焼入れ時に黒皮を弾いた後の模様等いろいろです。
鉋や鑿の地金はむづかしいかと思います。
原材料の和釘の先は、しばしば鍛えの時に浸炭してしまっているので、カーボンが入った地金となります。
小刀など薄刃のものは強度とシナリがでて理想的ですが、鉋鑿は研ぐのがいやになると思います。
余り知られていないところで、とんでもないことをやってのける職人さんはひっそっりいらっしゃいます。
御期待ください。
コメント
コールタール (Coal tar) とは、コークスを製造する時にコークス炉で石炭を乾留して得られる副生成物の一つ。黒色の液体で芳香族化合物に独特の臭気(タール臭)を持つ。芳香族化合物を多量に含み、ナフタレン (5~15%)、ベンゼン (0.3~1%)、フェノール (0.5~1.5%)、ベンゾピレン ペンゾ[a]ピレン (1~3%)、フェナントレン (3~8%) などが含まれている。最初に確認された発癌性物質であり、WHOの下部組織IARCはコールタールには発癌性がある (Type1) と勧告している。(発癌性の項も参照の事。)
かつては枕木や木電柱など、木材の防腐剤として、またトタン屋根の塗料として表面に塗布されて使われたが、それぞれコンクリート製の普及や建材の移り変わりにより、使われなくなってきている。また、第二次世界大戦前は更に分留して各種有機化学製品や染料の原料として利用されたが、大戦後は石油化学コンビナート製品にその座を奪われた。
Posted by - at 2010.10.23 14:45 | edit